内科医院にて
もう何年になるでしょう。わたくし近所の内科の個人医院に月に1回診察を受け、薬を処方して頂いています。
この医院、外来の患者さんが多く、何時間も待たされたことがちょくちょくあり、以前は、予約を取って受診していました。
最近、時間に余裕がある日もあり、時間があり、受診される方が少ない時間帯を狙って伺っています。
で、きょうも予約なしで、診察を受けに伺いました。待合室には予想に反しまして、多くの患者さんが待っておられました。
受付を済まし、待合室で待っていましたら、80過ぎの御年輩の方が、「こんちわ」と挨拶され隣に座られました。隣地区の知り合いのFMさんでした。
知り合いと言いましても、そんなに深いお付き合いをしているとかではありませんが、わたくしが幼少のころから存じ上げている方です。
もう辞められましたが、以前精米所をやっておられ、農家の我が家へも何十年も出入りされていました。
そのFMさんの御自宅の隣に一時期、わたくしの従姉、その後に叔母が住んでいましたし、FMさんの姪御さんがわたくしと同級生でもありました。
また、この地域にも車社会の波が押し寄せ、FMさんの義兄さんが、わたくしの居住地区に車の整備工場を始められ、現在長男さんが後を継がれています。
今、我が地区、隣地区を貫通する幹線道路が出来つつありまして、FMさんの御自宅も道路に掛かり、精米所の跡地に新築され転居されました。
とかあり、医院の待合室で、隣に座られてから、ず~っと、お話は続き、わたくしは、ず~っと聞き役でした。その時間、約1時間半。
FMさん御夫婦の現在の健康状態の話に始まり、立ち退きの話、新築転居の話、姪御さんの話、整備工場経営状態・ご自宅の話、わたくしの従姉の話、叔母の話、その旧隣地の諍いの話、わたくしの亡くなった両親の話と、話は尽きることなく、「FMさ~ん」と診察室から呼ばれるまで続きました、ず~っと1時間半。
わたくしも診察を終え、医院の隣の薬局へ参りましたら、先程のFMさんが待っておられました。
しばらく時間はありましたが、今度は、黙ったまま、沈黙を守っておられました。話すことが無くなったか、部屋が狭かったからか。処方薬を受け取られ「お先に」と静かに出て行かれました。